『凛とした女性』初めて会った当初から「あたたかい雰囲気」と「芯の強さ」を感じた方でした。
2003年義母の納骨の日、ご主人が階段から転落。救急搬送された病院で「後縦靭帯骨化症」と診断されました。それから「16年間ご主人の介護」を、経験されたNさんにお話しを聞かせていただきました。
Nさんは学生の時、170センチの長身を活かしバレーボールをされていました。高校卒業後、就職先の会社で自らバレーボール部を立ち上げ、選手兼任監督として活動を開始されます。
そんなNさんは、社内でも一目置かれる存在でした。

そんなNさんに、同じ会社の「身長182センチと体格のいいスポーツマン」とのお見合い話が舞い込んできました。同じスポーツ好きな事と、料理好きなNさんと、食べる事が大好きな男性(学生時相撲部☺)。そんなお二人は、出会ってすぐに結婚されます。その後、二人の女の子に恵まれ4人家族となられました。Nさんは結婚後、仕事を辞めパートをしながら子育てをされていました。
子供が社会人となり、子育てにひと段落ついた頃、事故が起きました。
今でも当時の事は、鮮明に覚えておられます。
救急搬送された先でたったひとり・・・
病院の待合室で4時間以上待たされた事。
その後、医師からご主人の病状の告知を受けた事。
そして、その日からNさんの人生は大きく変わりました。

ご主人は首から下は全く動かなくなり、病院を転々とする事となります。
当初、ご主人はリハビリすれば良くなると信じていたそうです。「その頃が一番辛かった」とNさん。すべてを受け入れる事が出来るまでの時間が、夫婦で一番つらかったとの事です。夫婦でどれだけの涙を流したことか・・・何度も何度も挫けた心を奮い立たせて今の自分がいるのだと。Nさんは性格上「人に弱音をはかない」そうです。
病院の対応、保険会社、身内からの心ない言葉。「理不尽な出来事」が次から次へとNさんに降りかかってきました。
それでも、どんな時も、気丈に対応し、そんな自分の人生の中でも、ご自身の出来ることを考え、行動に移す『行動力』は若い時から持っているNさんの持って生まれた個性(魅力)なのだと感じました。
平成16年秋頃、母から受け継いだ料理の腕前を活かし、小料理屋さんを始められました。奥まった場所にもかかわらず、地域の方に愛されたお店でしたが、ご自身の体調から「立ち仕事は無理だ」と、令和元年5月にお店を閉められました。
今はご自身の得意料理を、家族や自分と関わる人に「作りすぎた時におすそ分けしているの」と、笑顔で話していただきました。今の時代だからこそ、こういった『おすそ分け』=『人に感心を持つ事』=『本来の人との繋がり』=『深い愛情』なのかと改めて感じました。ありがとうございました。
