70歳をすぎてから何度も死にかける経験をしながらも、もうすぐ89歳を迎えられるOさんです。
2021年の4月にも肺炎で呼吸が苦しくなり、入院され医師から「ご主人は余命3ヶ月です」と告げられた奥様・・・
それから8カ月後の12月、回復されご夫婦でお話を聞かせていただきました。
7つの点滴と2度の手術。
今から16年前、末期の大腸がんと告知された時、奥様とご家族はとてもショックを受けられました。
ところが、当時のご本人は「末期がん」と医師に告知されても全く動じなかったそうです。
私の知るOさんは冷静で紳士で包容力のある方です。その奥様は物静かで気品が漂う雰囲気のある女性です。
がんと告知されて「動じない人なんていない」と思っていましたが、それを表面に出さなかったり、いろんな受け止め方がある事を改めて感じました。
その8日後、末期がんではない事が判明。医師からは「おめでとう。よかったね」と言われた直後、激しい嘔吐に襲われ、腸が癒着している事が判明しました。7つの点滴をしながらの治療と2度も手術をされました。
当時、あまりの痛さに「窓から飛び降りたい」と同じ部屋の人に嘆いていたそうです。その時同じ部屋だった人に「飛び降りても3階だから痛い思いをするだけだよ」と言われたことを懐かしく思い出しながらお話を聞かせていただきました。
体重は10kg減。
退院後もあまりの痛さに「痛み止め」を飲みすぎた為、喉を傷められました。みかんを食べた時、胸が焼き付くほど痛かったそうです。あまりに苦しかった為、口に指を入れてもどしたらチョコレート色のモノを吐いたそうです。翌朝、血を吐き気分が悪かった為、救急車をよばれました。病院へ運ばれ検査の結果、喉がただれていた時に無理やり吐いた事で粘膜が剝がれてしまったそうです。それをホッチキスのようなもので処置をしたとの事です。この処置が遅れれば命がなかったと医師に告げられました。体重も10キロ以上減ったそうです。
その後も家で意識を失う出来事があり、その時に助かったのは20歳のお孫さんが人口呼吸をしてくれたおかげで息を吹き返したそうです。(人口呼吸のやり方は学校で教わったそうです)
今一番うれしい出来事は「ひ孫が出来たんだよ」と、写真を見せていただきました。
「コロナ禍のせいもあり、まだ一度も会えてない」と、近いうちに会う日をとても楽しみにされています。
(取材/文・成松 久美恵)